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東日医療新聞

気になったニュース(主に医療系)について書いていきます。

日本は感染症対策の後進国?(3) ~日本と韓国における麻疹対策の相違~ ①ワクチン導入期

前回までの記事で、日本が「感染症対策の後進国」となってしまっている理由について説明しました。

では、どのような対策を採ればよいのでしょうか。

もちろん、ワクチンの接種率を上げればよい、というのは正しい回答ですが、

それが簡単にできれば厚労省のお役人も苦労しません。

 

では、諸外国ではどのようにしてワクチンの接種率を向上させてきたのでしょうか。

まずは、韓国における麻疹に対する取り組みを、日本と比較しながら見ていきましょう。

以下のURLから引用します。

国立感染症研究所 韓国における麻疹とその対策」

http://idsc.nih.go.jp/iasr/22/261/dj2610.html

 

①ワクチン導入期

>韓国は1963年に麻疹ワクチンを生後12~15カ月児への定期接種として導入、 以来麻疹患者数は減少した。1982年にはMMR(measles, mumps, rubella)ワクチンを導入、 接種率は90%を超えさらに発生数の減少が見られた。しかし1994~95年に約1万例の麻疹が発生したため、 4~6歳での追加接種方式を取り入れた(supplementary immunization)。以来、 韓国における麻疹ワクチンはMMRによる2回接種となっており、 1999年の麻疹は全国で13例であった。しかし2000年の10月頃から麻疹患者発生数が再び急増し、 10月約2000例、 11月約12,000例、 12月には約15,000例が報告され、 2000年の合計患者数は54,000例となった。(以上引用終わり)

 

ここまでは日本とほぼ同じ道を辿っているのですが、実はこの時点でも韓国のほうが先進的であったのです。

日本が麻疹ワクチンを導入したのは1966年で、定期接種になったのはさらに1976年と、実に韓国に13年もの遅れを取っていたのです。

さらに、麻疹ワクチンの定期接種を2回としたのはなんと2005年と、これも韓国に10年も遅れを取っています。

 

もちろん、日本の公衆衛生行政が怠慢であったために導入が遅れたわけではありません。

実は、戦後すぐの時点では、日本の予防接種行政は非常に迅速なものでした。

敗戦からわずか3年後の1948年には、天然痘、百日咳、腸チフスなどの12疾病を対象とする「予防接種法」が制定されました。

戦後すぐの衛生状況が悪い時代においては、感染症による社会的損失が甚大であったため、接種は「義務」とされ、怠った場合には罰則もある厳しいものでした。

しかし、この「予防接種法」が制定されたその年に、「京都・島根ジフテリア予防接種禍事件」が発生してしまいます。

これは製薬会社のミスによって無毒化がされなかったワクチンが、国の検定を通り、そのまま接種されたことによって84人もの死者を出してしまったという事件でした。

その後も続々と起きたワクチンによる薬害(種痘、DPTワクチンなど)が社会問題化していきました。さらに、衛生状態の向上により、感染症の危険は減少していきました。

当然の帰結として、世論は予防接種に懐疑的になり、行政も抑制的な態度をとるようになっていったのです。1976年には予防接種法の罰則が廃止されました。

さらに追い打ちをかけるように、1992年にはMMRワクチンによる無菌性髄膜炎の発生について国の責任を認める判決が東京高裁で出されました。

これを受けて、1994年には予防接種法が全面改正され、「義務規定」が「努力規定」に変更されました。

このような流れの中で「接種するワクチンの種類、回数を増やす」ということは現実的に難しいことだったでしょう。

 

対して韓国では、(詳細は省略します、多少語弊がありますが)独裁政権が続き、完全な民主化がなされたのは1987年のことでした。

(ここからは私の推測です)

そのため、ワクチンによる薬害が表沙汰にならなかったのではないでしょうか。

ワクチンの成分自体も日本と大きくは変わらないでしょうし、韓国国内のワクチン製造技術が著しく高かったとも考えにくいので、日本で起こったような薬害が存在しなかったというのは不自然に感じます。

(以上、推測終わり)

もちろん独裁政権を擁護する気は全くありません。大多数に効果があるからといって、薬害のあるワクチンを放置するのが良いこととも思えません。

ただ、善悪の判断は抜きにして、結果としてワクチンによる感染症対策は日本より早く進んだ、ということだけは事実として認めなければならないでしょう。

 

(参考にさせていただいたWEBサイト)

日本における予防接種の歴史―日本はワクチン後進国?|メディカルノート

医学書院/週刊医学界新聞(第3058号 2014年01月06日)

「予防接種制度について 厚生労働省

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000033079-att/2r985200000330hr_1.pdf

「1948 年京都・島根ジフテリア予防接種禍事件」

http://pha.jp/shin-yakugaku/doc/40-155-156_2011_kurihara.pdf

医療情報室レポート�bP99( 特 集 : 我が国の予防接種行政を考える )