東日医療新聞

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日本は感染症対策の後進国?(2)

さて、なぜ日本ではここまで感染症対策が遅れてしまったのでしょうか。

普通に考えれば、日本はむしろ感染症対策において世界をリードしてもおかしくないレベルの好条件に恵まれています。

WHOから世界一のお墨付きを得た国民健康保険制度を持つ上に、経済的にも豊かな国です。低所得者でも病院にかかりやすく、感染症が蔓延しにくい環境であるはずです。

さらに言えば、日本は島国であり、移民も受け入れていないため、大陸諸国よりも感染者の制御はしやすいでしょう。

 

……実は、問題は主に「VPD」(Vaccine Preventable Diseases)、すなわちワクチンで防げる感染症の蔓延なのです。

前回挙げた感染症(麻疹、風疹、結核肺炎球菌感染症ロタウイルス感染症)には全て、有効性の高いワクチンがあります。

(ただし結核の予防接種であるBCGは、小児には効果が高いものの成人にはあまり効果がないとされている)

しかし、日本では接種率が他国と比較して非常に低いため、これらの感染症が跋扈しているのです。

 

もちろん、ワクチンが存在する感染症などごく一部ですし、接種しても効果がないこともあります。したがって、感染症がはびこるのは接種率の低さだけが問題とは限りません。

しかし、重篤で、流行が起こりやすい感染症についてはワクチンである程度カバーされているのも事実です。(逆に、重篤で流行が起こりやすい感染症だからこそワクチンが開発された、とも言えます)

主にはこのワクチン接種が不十分であるために、日本は感染症対策の後進国という烙印を押されてしまっているのです。

 

では、この問題に対してどのような対策を採ればよいのでしょうか。

海外の事例を交えながら、次回解説していきます。

 

(ここまで参考にさせていただいたwebサイト)

Know VPD! - ワクチンで防げる病気(VPD)を知って子供たちの命を守る

トップページ|公益財団法人結核予防会

感染症疫学センター

WHO | Data, statistics and graphics

第3回 アメリカは再興感染症「結核」をどのように克服したか | 日本BD

【日本の議論】「結核」いまだ減らない日本 “中蔓延国”になってしまう理由 - 産経ニュース

日本のはしか「排除状態」 WHOが認定 国内由来の感染3年間なし - 産経ニュース