東日医療新聞

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日本は感染症対策の後進国?(1)

日本人は、世界的に見ても清潔好きの国民だと言われています。

抗菌・除菌グッズは飛ぶように売れ、冬の電車内ではかなりの割合の人がマスクをつけています。

 

しかし、そんな日本が世界から「感染症対策の後進国」と言われていることは、あまり知られていない事実なのではないでしょうか。

 

例えば、前回の記事でも取り上げた麻疹。

実は、流行しているのは日本とアジア、アフリカの途上国くらいで、南北アメリカ、中東、欧州諸国、韓国などでは既に「排除状態」(ウイルスの国内株が絶滅)となっています。

世界的にはそのような状況であるにもかかわらず、日本では2007,2008年に大流行が起こりました。

その流行中に修学旅行で日本からカナダを訪れた高校生が麻疹になり、現地の保健当局から全員がホテルで待機を命じられ、飛行機の搭乗も拒否されるという事態さえ起きました。

このような状態に厚生労働省も危機感を持ったのか、ワクチン接種を乳児期の1回しか受けていない年代の人に対し、追加で無料接種が受けられる制度を実施しました。

これが功を奏し、日本も2015年にようやくWHOから「排除状態」であると認定されました。

しかし、そのわずか一年後である今年になって、前回記事でも述べたとおり、また流行を起こしています。

 

また、結核に至っては、日本は未だに「中蔓延国」(人口10万人に対し罹患者10人以上)と位置づけられています。

2012年のデータでは人口10万人あたりの罹患率が16.7人であり、これは欧米諸国と比較すると4~5倍以上高い数値です。(画像参照)

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さらに、 風疹に関しては、2012~13年にかけて成人男性を中心に流行し、44例の母子感染例(先天性風疹症候群)が発生するという「先進国にあるまじき事態」になりました。

米国やカナダ等からは、妊婦に対する予防接種の推奨や、日本への渡航注意喚起も発令されました。

 

これ以外の感染症肺炎球菌感染症ロタウイルス感染症など)についても、日本の取組みは遅れているのが実情です。

 

ではなぜ、日本はここまで感染症対策が遅れてしまったのでしょうか。

次の記事で解説します。